地狂言舞台を支えた木
「このテーブルは田峰観音地狂言舞台の花道として使われてきたものです。材料(樹種)はモミで、舞台の棟木と同じ木から作成されました。三百有余年の歴史をつないできた花道も老朽化のため、(地狂言舞台とともに)近年更新されましたが、この度、本休憩所のテーブルとして生まれ変わりました。
テーブル作成過程では多くの錆びた釘に悩まされましたが、その中から江戸時代に用いられた和釘(鍛冶屋釘)が数本見つかっております。ある時はこの花道で弁慶が六法を踏み、またある時は熟女の五人男が見栄を切り、村人の喝さい(喝采)を浴びた。そんな時代の流れを感じていただければ幸いです。 亭主敬白」
本日の筆者は田峯の住人。
初舞台を踏んでから、はや、四十年になろうとしています。
初舞台はちょうど今年の演目
「源平布引滝 九郎助住家の段」
通称、実盛物語の太郎吉役でした。
筆者がこの花道を通ったのは、初舞台から2年後の演目
「絵本太功記十段目 尼崎の場」の十次郎役でした。
※考えてみると、田峰観音地狂言の歴史の9分の1に携わっているんですね!?
そりゃ、じじいにもなるわな・・・(笑)
舞台づくりに参加した頃はまだ、物の価値もわかっておらず、
この〝花道〟に土足であがって先輩方に
「こらーっ!土足であがるんじゃねーっっ!!!」
と、怒られた思い出があります。
だいたい新人は、そうして怒られて育つんですけどね。
百数十年以上使われた数枚の板(昭和の終わり頃には2枚しか残っていなかったような・・・)は、年を経て微妙に反り、「このベカベカした板、なんとかなんねかなー」なって、古い物に無頓着な私はそう思ったりしていました。
平成10年に行われた田峰観音地狂言舞台の大改修で、
この〝花道〟も更新され、今は立派な花道になっています。
さて、
約18年ぶりに姿を現したこの板は、その昔、同じくこの地狂言舞台で寿浄瑠璃三番叟を踏んでいた竹下工(つかさ)さんの手により、テーブルとして再び日の目を見る事になりました。
テーブルが在る場所は、田峰観音のお膝元、田峯特産物直売所の休憩場所に置かれています。
冒頭の文章でわかるとおり、磨き上げるのに相当苦労されたようです。
長年使われて来たため、小石が板目地に入り込んだり、釘が深く打ち込まれていたり・・・
加工途中では思わぬ“掘り出し物”も出てきたそうです。
なんと 江戸時代のものと思われる釘です Σ(゚д゚lll)
皆さんで大事に使い込んで、次の世代に残しましょうね。
今週末は、田峰観音例大祭
花道を通る役者は・・・(*゚∀゚*) オタノシミに~♪